研究概要 |
急性骨髄性白血病21例(FAB-MO;1例,M;6例,M2;3例,M3 with t(15;17);7例,M4;3例;M5;1例)につき、2142個のunselected genesを二重にプリントしたcDNA microarrayを用いて遺伝子発現プロファイリングを行った。解析方法は、少数例の解析に有用性が高いσ-classifier algorithmを用いた。t(15;17)を伴うFAB-M3の7例とその他、FAB-M1の6例とその他、t(15;17)を伴うFAB-M3の7例とFAB-M1の6例の直接比較において、それぞれを正確にクラスター化することが可能な33個、24個、17個の遺伝子を抽出し、これら遺伝子群を統合した62個の遺伝子でt(15;17)を伴うFAB-M3、FAB-M1、その他をクラスター化することが可能であった。このことは、定型的染色体異常であるt(15;17)(q22;q12)由来の2PML/RARα融合蛋白を伴う予後良好なFAB-M3と同様、FAB-M3よりも予後不良で形態学的・細胞化学的に診断されるFAB-M1も特有の遺伝子発現様式を有していることを示しており、報告した。(Morikawa J., et al., Int. J. Oncol, 2003 in press) 急性リンパ性白血病については、Philadelphia染色体(Ph)の有無別で比較し、Ph陽性例で強発現しているGene Xを見出し、この遺伝子の発現がBCR-ABL融合蛋白の特異的リン酸化阻害剤であるSTI571により抑制され、さらにRasの阻害剤であるfernesyl transferase inhibitor、により発現が抑制され、P13 kinaseの阻害剤であるrapamycinおよびJak2の阻害剤であるAG490で発現が抑制されないことにより、Gene XはBCR-ABLの下流でRasのシグナル伝達経路に関連した遺伝子であるとの知見を得ており、その機能についてさらに検討中である。
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