研究課題/領域番号 |
13671067
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
安倍 正博 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (80263812)
|
研究分担者 |
松本 俊夫 徳島大学, 医学研究科, 教授 (20157374)
井上 大輔 徳島大学, 医学研究科, 助手 (60314853)
尾崎 修治 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (90314872)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 多発性骨髄腫 / ケモカイン / MIP-1 / 破骨細胞 / RANKL / VLA-4 |
研究概要 |
多発性骨髄腫は単クローン性形質細胞の骨髄内集積と進行性の広範な骨破壊性病変を特徴とするが、この骨病変形成の原因因子はこれまで不明であった。そこで、我々は家兎破骨細胞形成系を用いて骨髄腫細胞由来骨吸収促進因子を探索した。その結果、広範な骨破壊性病変を有する患者骨髄血より単離した骨髄腫細胞の大部分より骨吸収活性を有するCCケモカインのMacrophage inflammatory protein (MIP)-1αおよびβが構成的に多量に産生されていることを見出した。また、骨髄腫細胞からのMIP-1α、βの産生能は、患者骨吸収マーカー値と正の相関を認め、これらの因子が多くの患者の骨病変形成の原因あるいは促進因子であることが示唆された。実際、家兎骨髄細胞を用いた破骨細胞形成系を用いた検討では、骨髄腫細胞による骨細胞の形成・機能の促進は、MIP-1α、βに対する中和抗体を同時添加により大部分が消失し、MIP-1α、βは、骨髄腫の主要な骨吸収促進因子であることが明らかになった。さらに、MIP-1α、βおよび骨髄腫細胞による破骨細胞形成・機能の促進は破骨細胞分化因子(ODF/RANKL)の阻害因子であるosteoprotegerin (OPG)により完全に抑制されたことより骨病変の形成にRANKLの発現が必須であると考えられた。MIP-1α、βはともに間質細胞におけるRANKLmRNAの発現を誘導し、破骨細胞形成を促進した。MIP-1α、βはまた骨髄腫細胞のVLA-4を介する間質細胞との接着を促進し、この接着により骨髄腫細胞からのMIP-1α、βの産生はさらに亢進した。一方、間質細胞は構成的にOPGを産生しており、骨髄腫細胞の共存あるいはその培養上清の添加で間質細胞からのOPG産生が抑制された。以上の結果より、多くの骨髄腫患者の骨髄微小環境ではRANKL/OPG系の発現調節が異常となりRANKL作用が亢進する結果、破骨細胞形成・機能が促進し広範な骨破壊がもたらされることが示唆された。骨髄腫細胞由来MIP-1はRANKL発現を誘導する主要な因子であり、MIP-1あるいはRANKLの作用の阻害は骨髄腫骨病変形成の防止に有効と考えられた。
|