研究課題/領域番号 |
13671070
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川口 辰哉 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50244116)
|
研究分担者 |
長倉 祥一 熊本大学, 医学部附属病院, 医員
石原 園子 熊本大学, 医学部附属病院, 医員
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 発作性夜間血色素尿症(PNH) / PIG-A遺伝子 / GPIアンカー蛋白 / ナチュラルキラー細胞(NK細胞) / クローン性増殖 / パーフォリン / Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria / PIG-A mutation / Clonal expansion / Natural killer cell / GPI-anchored protein |
研究概要 |
PNHは、造血幹細胞のPIG-A遺伝子体細胞変異により、GPIアンカー型膜蛋白(GPI-AP)を欠損する異常血球がクローン性拡大をきたし溶血などの臨床症状を呈する血液難病である。このクローン拡大機序に関しては増殖優位または生存優位説で説明が試みられてきたが、その詳細は不明である。後者は、PNHに特徴的な自己免疫機序による造血障害下では、異常クローンがその膜特性を利用して細胞障害リンパ球の攻撃を回避することで生存優位を獲得するという説であり、本研究はこれを実証する目的で計画された。 我々は、まずGPI-AP欠損細胞株およびPIG-A cDNAを導入しGPI-AP発現を回復させた回復株のペア細胞株を標的細胞とした細胞障害活性測定法を確立し、欠損株がナチュラルキラー細胞(NK)のPerforin-Granzyme(Pf/Gz)による細胞障害に対して感受性が低下していることを明らかにした。次に、感受性低下のメカニズム解析を試み、精製したPfやIL-2で充分に活性化されたNKに対しては両株細胞間で細胞傷害感受性に差がなかったことから、Pf放出自体には問題が無く、標的細胞との接触によるNK活性化の過程に差があることが判明した。細胞接触によるNK活性化はIFN-γやTNF-αなどのサイトカイン産生能を指標にすると両株細胞間に差がないことから、欠損株におけるPf/Gz放出に特異的な細胞内情報伝達系の低下が示唆された。この結果から、欠損するGPI-APの中にPf/Gz放出に関与する分子が想定されたが、既存のGPI-APに対する単クローン抗体による抑制試験により責任分子の同定を試みるも特定できなかった。この分子の同定は今後の課題である。 以上の研究成果より、PNH血球はNK細胞による細胞傷害から回避することで生存優位を獲得することが強く示唆された。(774文字)
|