研究課題/領域番号 |
13671088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
川端 浩 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10329401)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | トランスフェリン / トランスフェリン受容体 / 鉄代謝 / 赤芽球 / 造血 |
研究概要 |
【背景】当研究期間中に、transferrin receptor2(TfR2)の先天的変異を伴う家族性ヘモクロマトーシス3型が世界各地より報告された。また、UCLA/Cedars-Sinai Medical CenterのPhillip Koeffler、Saint Louis大学のRobert Flemingらとの共同研究で作成したTfR2変異マウスでも、ヘモクロマトーシスと類似した肝臓への鉄の沈着がみられたことから、この分子の鉄代謝への関わりが確実となった。本研究では、造血系に的を絞ってこの分子の発現と機能の解析を行ってきた。 【方法・結果】まず、大腸菌に発現させたTfR2蛋白、およびTfR2合成ペプチドを抗原として、2種類の抗ウサギ・ポリクローナル抗体を作成した。これらの抗体の特異性と感受性は、TfR2またはtransferrin receptor1を強制発現させたCHO-TRVb細胞をもちいて調べた。作成した2つの抗TfR2抗体は、免疫組織学的染色およびウエスタンブロッティングにおいて有用であった。次に、これらの抗体を用いて、サンドウイッチELISA法で血清中のTfR2を測定した。血清中のTfR2は感度以下であった。測定感度を改善する余地は残されているが、TfR2は主に細胞内および膜上に存在するものと結論した。さらに、これらの抗体を用いて正常および血液疾患の骨髄細胞を免疫組織学的に調べた。赤芽球系細胞が陽性に出る傾向がみられたが、骨髄系細胞と巨核球については結果が一定しなかった。臨床検体では赤白血病(AML-M6)の1例で非常に強いTfR2の発現が確認された。共同研究で作成したTfR2変異マウスの骨髄・末梢血液像は正常であった。骨髄細胞のコロニーアッセイ(CFU-GM, BFU-EおよびCFU-MEG)でも野生型マウスとの差はみられなかった。 【考察・結論】最近の報告は、肝臓由来のペプチド・ホルモンであるhepcidinが、鉄のホメオスタシスに中心的な役割を果たしていることを示唆している。私は、TfR2が肝臓におけるtransferrinのセンサーとして、hepcidinの発現または放出に関与しているのではないかと考えているが、これについては現在動物モデルなどを用いて解析中である。また、臨床検体を用いた研究では赤白血病細胞に蛋白レベルでの高発現が確認されたが、今後、多数例で解析を行い、その意義について検討したいと考えている。
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