研究概要 |
最近2つ新たなメンバーをヒトからクローニングしたが、これまで知られている水チャネルと相同性がひくくAQP11,AQP12となづけた。AQP11,12はこれまで見つかっている水チャネルとは一次構造がかなりちがっており、あらたな水チャネルファミリーを形成していると考えられる。それはこれに類似したタンパクがセンチュウに3つ、ショウジョウバエに1つ、シロイヌナズナに3つみつけられるからである。 発現組織分布をみると、AQP11は精巣に多いが、脳、腎、肝にも少量発現している。AQP12は膵臓特異的である。特にAQP12は膵臓での発現が多い。ラットを絶食にした場合と食事をフリーにさせCKPZを筋注して6時間後の膵臓でのAQP12の発現に変化がないかどうかノーザンブロットとウエスタンブロットで検討したところ、AQP12の発現はRNAレベルで5倍に、タンパクレベルで2倍に増えていた。これは膵臓の外分泌にAQP12が重要であることを示唆している。一方、ラットの飲み水に塩化アンモニウムまたは重曹をいれてアシドーシスまたはアルカローシスのモデルをつくり、腎臓でのAQP11の発現をノーザンブロットで検討した。AQP11の発現には変化がみられなかった。2日間の脱水モデルでも変化はみられなかった。これらの結果からはAQP11の腎臓での役割ははっきりしない。 アフリカツメガエル卵に発現させるとAQP11,AQP12は水を通さないがグリセリンを通した。AQP11やAQP12の水チャネル機能の発現にはcofactorが必要でそれが卵にはかけている可能性も考えられるのでほ乳類の培養細胞に一過性に発現させてみたが水はやはり通さなかった。現在AQP11 AQP12は水は通さないが、グリセリンなどの小粒子を通すチャネルと考えており、生理的に輸送される物質の同定が必要である。
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