研究課題/領域番号 |
13671182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
葛谷 雅文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10283441)
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研究分担者 |
神田 茂 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員
井口 昭久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20109763)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | マトリックス・メタロプロテアーゼ / 血管内膜肥厚 / 血管平滑筋細胞 / MMP-2遺伝子欠損変異マウス / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
我々はMMP-2(gelatinase A)遺伝子欠損変異マウス(MMP-2 KO)を用い、頚動脈内膜肥厚に対するMMP-2の役割を明らかにした。すなわち、遺伝子背景を同一にした野生型マウスは左総頚動脈の内頚動脈、外頚動脈分岐部を糸で結紮することにより、経時的に総頚動脈に内膜肥厚がおこるが、MMP-2KOではその内膜肥厚が著しく抑制されていた。総頚動脈結紮後、経時的に頚動脈を取り出し、蛋白抽出を行い、ゲラチン・ザイモグラムを行ったところ、MMP-9は結紮早期(結紮後1,3日)に増加するが、それ以後減少し、4週後にはほぼ結紮前のレベルに回復していた。一方MMP-2は結紮1週後より増強し4週後にもなお増加を認めた。免疫染色による観察では、MMP-9の増加は主に結紮後外膜側に集まるCD45-positiveな白血球によるものであった。一方、MMP-2は結紮1週後より中膜の平滑筋層に主に発現を認め、4週後では肥厚した内膜にもっとも多く認めた。以上の結果より、マウス内膜肥厚モデルにおいてMMP-2は重要な役割を果たしていることが明らかとなった。野生型とMMP-2 KOでは内膜ならびに中膜の細胞増殖には差を認めなかったため、平滑筋細胞の中膜から内膜への遊走にMMP-2は関与している可能性が高いと思われた。この仮説をさらに明らかにするため、野生型ならびにMMP-2 KOマウス胸部大動脈をティシュー・チョッパーにより1mm×1mmの組織片を作成し、96-well plateに移し、血清(-)、増殖因子(+)の条件で、組織片からの平滑筋細胞の遊走を観察したところ、野生型に比較し、MMP-2 KOの組織片では平滑筋細胞の遊走能が低下していることがわかった。さらに上記の胸部大動脈由来の培養平滑筋細胞を使用し、trans-wellを使用した遊走能、さらにtrans-wellの膜上に基底膜モデルであるMatrigelをゲル化し、浸潤能について検討した。遊走能は野生型由来平滑筋細胞とMMP-2KO由来との間に大きな差は認めなかった。しかし、Matrigelを使用した浸潤能はMMP-2欠損平滑筋細胞で著しい低下を観察した。以上よりMMP-2欠損は平滑筋細胞のmotility自体には影響を与えず、マトリックス蛋白を溶かしながら遊走する必要がある浸潤を著しく抑制することが明らかとなった。この結果は動物実験での我々の結果を支持するものである。
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