研究課題/領域番号 |
13671186
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 新平 京都大学, 医学研究科, 助手 (00333576)
|
研究分担者 |
長嶋 一昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (40324628)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 膵ランゲルハンス氏島 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / ブドウ糖 / プライミング効果 / 開口放出機構 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / 細胞内ATP濃度 / ブドウ島 |
研究概要 |
膵ランゲルハンス(ラ)氏島において、高濃度ブドウ糖の短期前曝露によって、以後の刺激によるインスリン分泌が、高濃度ブドウ糖に曝露されていない場合に比べ、増強することがブドウ糖のプライミング効果として知られている。膵β細胞においては、高濃度ブドウ糖は細胞内に速やかに取り込まれ、代謝を受けATP産生をきたし、細胞膜上のATP感受性K^+チャネルを閉鎖することによって脱分極をきたし、電位依存性Ca^<2+>チャネルが開口することにより、Ca^<2+>が細胞内に流入する。開口放出機構は、ATPをはじめとする細胞内代謝産物や細胞内Ca^<2+>の濃度上昇を感知して、インスリン分泌をきたす。しかしながら、インスリン分泌機構のどの段階に、このプライミング効果が作用しているのかについてはあきらかでない。高濃度グルコースに前曝露され、プライミングされた膵ラ氏島からのインスリン分泌は、プライミングをうけていないラ氏島からのインスリン分泌に比べ、低濃度ブドウ糖存在下で細胞外の高濃度K^+により脱分極刺激を加えた場合には有意に増強していた。開口放出機構におけるATPとCa^<2+>の有効性に対するプライミングの効果をあきらかにするため、細胞内のATPやCa^<2+>の濃度を細胞外から操作するため、膜透過性を高めた膵ラ氏島を作製しインスリン分泌を評価した。プライミングの効果は、Ca^<2+>依存性ATP依存性のインスリン分泌においては、Ca^<2+>やATPの有効性に変化を与えなかった。また脱分極刺激による細胞内Ca^<2+>濃度の増加に対しても、プライミングによる効果は観察されなかった。脱分極を加える前の細胞内ATP濃度は、プライミングを受けたラ氏島においても、受けていないラ氏島でも同程度であり、低濃度ブドウ糖存在下での脱分極により、どちらにおいても経時的に減少がみられた。しかし、プライミングを受けたラ氏島においては、脱分極初期のATP濃度があきらかに高く、この効果はミトコンドリアの代謝阻害剤で消失することから、ミトコンドリアでのATP産生の増加が、プライミング効果の機序として重要であることが判明した。現在、ミトコンドリアでのATP産生増加の原因が、中間代謝産物プールの増加によるものか、ミトコンドリア機能の変化によるものかについて検討中である。
|