研究概要 |
MODY1発症の原因遺伝子であるHNF4α蛋白の細胞内局在の変化を決定するHNF4α遺伝子の部位および役割について,前年度に引き続き,検討した. 核小体局在に関与すると思われる332〜338アミノ酸の前後を含めた,329〜341番アミノ酸配列のそれぞれについて,単一アミノ酸置換の変異HNF4αに,蛍光色素EGFPを融合した遺伝子を作製した.また324〜335番,337-341番アミノ酸配列をコードする遺伝子を欠失した変異HNF4αとEGFPとを融合した遺伝子を作製した.これらEGFPを融合した遺伝子を,COS7に導入し,蛍光顕微鏡にて観察した.その結果329〜341番の単一アミノ酸の変異HNF4α蛋白は全て,また337〜341番のアミノ酸の抜けたHNF4α蛋白も,核内に局在し核小体が抜けた,wild HNF4α蛋白とほぼ同様の細胞内局在を認めた.324〜335番アミノ酸を欠失したHNF4α蛋白は核内に局在したが,SHPとの共発現時と同様に一部細胞質にも局在した.HNF4α蛋白の332〜338番アミノ酸はHNF4α蛋白の細胞内局在にとって重要な役割をしていると考えられるが,単一のアミノ酸置換では蛋白の局在に変化は生じなかった.また324から335アミノ酸のかけたHNF4α蛋白の局在は変化しなかった.337〜341番アミノ酸を欠失したHNF4α蛋白は核内に局在し,一部細胞質にも局在したが,核小体には局在しなかった.341番以降のアミノ酸配列の存在もHNF4α蛋白の核小体への細胞内局在に関与していると考えられた.337〜341番アミノ酸の欠失したHNF血蛋白はSHPと共発現したものと同様に,一部細胞質への局在が認められた.332から341アミノ酸配列のうち,337から341アミノ酸は,他の核内に局在する蛋白との結合に関与する可能性があると考えられた. 本研究は細取レベルで,MODYの原因遺伝子を発現することにより,動物実験では明らかにできない糖尿病の発症機転を継続して検討したものである.
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