研究概要 |
ラットにおいてレプチン抵抗性の発現及びレプチン投与実験を行い2型糖尿病発症の一つのモデルとしてレプチン抵抗性の病態の意義を明らかにした。ラットを対象とし絶食後leptin注入を開始しさらに3時間後に[3-^3H]glucoseの注入を始めた。90分間高インスリンクランプを施行。血液中への糖の出現率(Ra)はSteeleの式により計算し消失率(Rd)はRaと血糖分布空間を推定し計算した。雄Wistar系ラット(6週齢)を用いた実験で糖代謝を測定したところpancreatic clamp時(somatostatin3μg/kg per min, insulin0.8mU/kg per min)Basal Ra=5.6±0.4mg/kg per min, Rd=5.7±0.5mg/kg per minでありインスリン10mU/kg per minに増加させたところRd=18.5±0.80.8mg/kg per minとなった。更にレプチン10μg/kg per min投与の場合にRd=20.8±0.6mg/kg per minと上昇が認められた。Rdは高脂肪食負荷によりインスリン付加時Rdは15.2±0.4mg/kg per minと低下したが,レプチン投与により18.3±0.4mg/kg per minとレプチンに反応が認められたfa/fa肥満ラットではインスリン10mU/kg per minに増加させたところRd=8.6±0.8mg/kg per minと低下しインスリン抵抗性をしめしたが,レプチン受容体異常を反映しレプチン投与は糖代謝には影響を与えなかったと考えられる。このモデルではレプチン抵抗性の存在に並行しインスリン抵抗性が惹起されているものと思われた。 また,レプチンをはじめとする脂肪組織より分泌されるアディポサイトカインと2型糖尿病の特徴的な血管障害について臨床データと関連を検討した。インスリン抵抗性のあまり顕著でない日本人2型糖尿病患者においてもレプチン,TNFα,レジスチン,アディポサイトカインなどと血管障害の程度に一定の関連が認められた。このようにアディポサイトカインと2型糖尿病の病態の関連は今後更に解明が必要である。
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