研究概要 |
<研究成果の概要> 【目的】乳房温存療法において乳管内進展・多発病巣を術前に正確に捉えることは、適応や切除範囲を決定する上で重要である。新たなmodalityとして、3-D CTと3-D MRIによる術前の病巣評価を行い、病理検索結果と対比させてその整合性を比較し、画像上false positiveとなった病巣の病理について検討した。 【対象と方法】対象は2000年〜2002年に東北大学附属病院で手術を受けた初発乳癌患者52例。術前に患側乳房のhelical CTおよびMRI検索を施行し、コンピューター画像処理による三次元構築により乳管内進展と多発病巣の存在を予測した。これらと摘出標本の詳細な病理検索結果とを対比させ、その精度を比較検討するとともに画像診断で多発病巣の存在が示唆された症例で、その局在が明らかであった部位の病理診断結果を検討した。【結果】1)病理診断にて2cm以上の乳管内進展を認めたのは17例でその感度、特度度、正診率はCT 65%,97%,87%、MRI 71%,94%,87%であった。2)病理診断にて実際に多発病巣を認めたのは8例でその感度、特度度、正診率はCT 63%,93%,88%、MRI 75%,80%,79%であった。3)高度な乳管内進展をCT, MRIともに捉えられたのは11例で、8例がcomedo type、histological gradeは9例がII以上であった。4)多発病巣に関する画像上のfalse positiveはCT 2例、MRI 6例で、このうち局在が確認された病変の病理像は(sclerosing)adenosis, PDWAであった。【考察】高度な乳管内進展病巣の描出感度においては3-D MRIが3-D CTよりもやや優れていたが、多発病巣に関しては3-D MRIで特異度が劣り、overdiagnosisとなる傾向が認められた。画像上false positiveとなった病巣の病理診断は、(sclerosing)adenosis, PDWAが大部分を占め、増殖性病変と癌病巣との鑑別のための至適撮影条件の追求が必要と考えられた。
|