研究課題/領域番号 |
13671305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
富永 正寛 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70188796)
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研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
岩崎 武 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90324912)
具 英成 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40195615)
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 幹細胞癌 / 経皮的肝灌流化学療法 / インターフェロン / 肝細胞癌 / C型肝炎 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)のコア蛋白が抗癌剤感受性を低下させる可能性に着眼し、HCV合併肝細胞癌例に対しインターフェロン(IFN)前投与を行い、その後の抗癌化学療法による抗腫瘍効果の増強を検討した。 A.基礎的検討:HCVコア蛋白発現による抗癌剤耐性獲得機序の解祈 HCVコア蛋白発現細胞(コア群)と対照細胞(コントロール群)をActinomycin D(Act.D)とDoxorubicin(Doxo)を含む培地で72時間培養し、生存率は各々Act.D;151vs15%およびDoxo:86vs39%とコア群で有意に高い抗癌剤耐性を示した。p53関連蛋白(p53,Waf-1,Bax)の発現は両群で差はなく、multiple drug resistance-associated protein(MRP) inhibitorのindomethacin投与下でもコア群の生存率低下は少なかったが、P-glycoprotein ihhibitorのcyclosporin Aの同時投与によりコア群の生存率はAct.D10.2%,Doxo24%と著明に低下した。従ってHCVコア蛋白発現細胞は抗癌剤耐性機序の1つとしてP-glycoproteinを介した機構の関与が示された。 B.臨床的検討:肝細胞癌に対する高用量化学療法前にIFNによる坑ウイルス療法を行い、ついで私達の考案した経皮的肝灌流化学療法(PIHP)を実施し、HCVウイルス量の低下と肝細胞癌の抗癌剤感受性との関連性につきPIHP(adriamycinおよびcisplatin)による抗腫瘍効果の点から評価した。 (1)retrospective study : PIHPを施行した患者において血中HCV-RNA量とPIHPの抗腫瘍効果との関連性を検討した。低ウイルス群(3x10^2Kcopy/ml未満)および高ウイルス群(3x10^2Kcopy/ml以上)で抗腫瘍効果を比較すると、両群で背景因子に差はなかったが、抗腫瘍効果は奏効率(CR+PR)に関して低ウイルス群86%、高ウイルス群25%となり有意に低ウイルス群で抗腫瘍効果が高かった。 (2)prospective study : HCV陽性切除不能肝細胞癌に対しIFN(IFNα300万IU/dayを1週間連日静脈内投与)で前処置した上で、PIHPを施行した。52歳および63歳男性のいずれもstageIVA幹細胞癌2症例に対しIFN治療後、PIHP(adriamycin100〜130mgおよびcisplatin 50mg)を施行した治療後1ヶ月のCTではいずれもPartial responseが得られ良好な抗腫瘍効果が得られた。以上より、症例数は少ないが術前のIFNによる抗ウイルス療法によりC型肝炎ウイルスを減少させることでPIHPの抗腫瘍効果をさらに増強させる可能性が示唆された。しかしIFNの副作用である骨髄抑制(特に血小板減少)が高頻度で、今後投与量や投与期間の再検討が必要である。
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