研究課題/領域番号 |
13671338
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小澤 壯治 (小澤 壮治) 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10169287)
|
研究分担者 |
岡本 信彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60317146)
中村 威 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306724)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 上皮増殖因子 / 新規抗癌剤 / 繊維芽細胞増殖因子 / 新しい融合蛋白質 / 受容体 / 上皮増殖因子受容体 |
研究概要 |
研究1.【目的】生体内の生理活性物質のみで構成されたターゲッティング療法の開発を目的として上皮増殖因子(EGF)とribonuclease familyの一つであるeosinophil cationic protein (ECP)とのconjugateを作製し、EGFR過剰発現癌細胞に対する効果をin vitroで検討した。【対象と方法】EGFとECPを2-iminothiolaneとSPDPを用いて架橋した。EGFR過剰発現株であるBT-20と非発現株であるH69に対するEGF-ECP conjugateの効果をMTT assayにて検討した。【結果】EGFR過剰発現株であるBT-20に対してはEGF-ECP conjugateは用量依存性に殺細胞効果を示したが、非発現株H69に対しては効果を示さなかった。過剰量のEGFを加えることによってconjugateの殺細胞効果は阻害された。【結語】EGFR過剰発現癌に対する生体内の生理活性物質から構成されたターゲッティング療法の有効性が示唆された。 研究2.【目的】我々は遺伝子融合によりbFGFをRNaseドメイン内部に挿入することで、立体構造的にRNase inhibitorへの耐性を獲得した新しい融合蛋白質(FGF-RNase fused protein : CL-RFN89)を作成した。今回この蛋白質が腫瘍血管新生に及ぼす影響を検討した。【方法】1)binding assay:蛍光色素物質(FLUOS)によりCL-RFN89を標識し、HUVECと15分間共培養後これを蛍光顕微鏡にて観察した。また、過剰のbFGF(15倍量)を同時添加した群を作成し、同様に観察した。2)in vitro angiogenesis assay : HUVECをコラーゲンゲルで挟み込んで培養し、3次元的に管腔形成を生じさせた。その際培養液中にCL-RFN89を各濃度で添加し、得られた管腔の長さを測定した。3)mouse dorsal air sac assay:膜フィルターで両面を覆ったチャンバーを作成し、内部にヒト扁平上皮癌細胞:A431を挿入して、マウス背部皮下に移植した。5日後これを切除し、皮下に形成された新生血管を観察した。その際にCL-RFN89をチャンバー内へ同時に添加して、その効果を観察した。また本実験前にCL-RFN89はA431に対する殺細胞効果を持たないことをMTT assayにて確認した。【結果】1)蛍光標識されたCL-RFN89の細胞膜上への結合が観察されたが、過剰量のbFGF存在下では細胞への結合は認められなかった。これは、過剰量のbFGFが細胞膜上のFGF受容体を占拠し、競合的にCL-RFN89の結合を阻害したと考えられた。2)HUVECの管腔形成はCL-RFN89に対し濃度依存性に阻害され、2μMの濃度において、何も加えないControl群に対し約43%の管腔形成を認めるのみであった。3)腫瘍のみの群では、3mm以上の新生血管を平均4.4本認めたが、2μMのCL-RFN89を添加した群では、平均0.8本認めるのみであった。【結語】CL-RFN89は特異的にFGF受容体を介して細胞へ結合すると考えられた。またin vitro, in vivoの系でともに血管新生阻害効果が確認された。
|