配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
癌抗原特異的細胞傷害性T細胞の抗原認識におけるTCR Vβレパトア応答を研究しており、今回人工的に合成した癌抗原ペプチドに対するTCR Vβレパトアの特異的免疫応答を解析することにより生体内における癌抗原(ペプチド)特異的T細胞の動態評価を検討した。ヒト消化器癌における腫瘍抗原の表出を免疫組織化学染色により検索し、高発現が確認された腫癌抗原分子のアミノ酸配列をもとにHLAに適合する腫瘍抗原ペプチドを人工的に合成した。末梢血より誘導した樹状細胞に合成ペプチドを結合させT細胞を刺激することにより、腫瘍抗原ペプチド特異的細胞傷害性T細胞が誘導され、ある特定のTCR Vβレパトア亜群が増加することが確認された。合成ペプチド提示樹状細胞ワクチンを癌患者に皮下投与した後の患者末梢血T細胞では腫瘍抗原(ペプチド)特異的細胞傷害活性の増強とType 1サイトカイン産生の増強が認められた。合成MUC1ペプチドを用いた場合、体外でMUC1ペプチド提示樹状細胞にてT細胞を刺激するとTCR Vβ 1,2,3,7.1,17のレパトア亜群の増加が認められたが、MUC1樹状細胞ワクチン投与後の患者において末梢血中に同様のTCR Vβレパトア陽性細胞が増強することが認められ、抗原ペプチドに応答するTCR Vβレパトアが生体内で誘導され増加したものと考えられた。現在の生体内CTL解析法であるHLAテトラマーを用いた方法はテトラマー作製が難しく、費用や時間がかかるなどの難点があり、今回の末梢血T細胞のTCR Vβレパトア解析が生体内における特異的免疫応答誘導の簡便かつ感度の良い指標と成り得る可能性が示された。
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