研究概要 |
1.大腸癌細胞に対するアンチネオプラストン(AN)の抗腫瘍メカニズム 1)G1細胞休止作用 a.フローサイトメトリー アンチネオプラストンA10-1およびAS2-1はKM12SM,SW620,SW1417,Colo206,HCT116いずれの細胞に対しG1休止作用が認められた. b.分子メカニズム(Western blot解析) AS2-1はKM12SM (mutant p53)およびHCT116 (wild p53)細胞に対しcycline D,Eを濃度・時間依存的に抑制し,p16およびp21発現を濃度・時間依存的に増強した.リン酸化pRb発現は濃度・時間依存的に抑制された. 2)アポトーシス誘導作用 a.フローサイトメトリー,Annexin V染色,DNAラダー解析 高濃度(5mgから10mg/ml)のAS2-1処理によりアポトーシス誘導が認められた. b.分子メカニズム(Western blot解析) AS2-1 5mg/mlの処理により,XIAP発現の減弱とcaspase 3,8発現増強が認められた.さらに上流のNF□Bの核内発現が減弱し,核内移行の阻害が示唆された. 3)脱メチレーション作用 KM12SMおよびHCT116細胞をAS2-1 2mg/mlで処理し,51種類の高メチル化遺伝子をmethyl scan DNA chipにて解析した結果,多くの遺伝子のメチル化が正常化もしくは減弱した. 2.大腸癌肝切除後のANを用いた補助療法(ランダム化比較試験) AN群:32例,非投与群:32例の全登録が終了した.現時点で両群間に再発率の差異は認めないものの,AN群の生存率は有意に高率で,再発例に対する外科治療の頻度が高率である.今後さらに追跡を続け,ANの術後補助療法としての意義を検討する予定である.
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