研究概要 |
1.硬膜動静脈瘻症例の血漿における血管新生因子の測定 硬膜動静脈瘻9症例の末梢血液,静脈洞血液サンプルにおいて各種血管新生因子(VEGF, bFGF, PDGF-AB, PDGF-BB)の血漿濃度をELISA法により測定した.VEGF, bFGFについては高濃度を示した症例はなかった.PDGF-ABは4例が,PDGF-BBは6例が高濃度を示した. 2.人正常硬膜静脈洞標本における血管新生因子レセプターの免疫組織染色 人硬膜静脈洞標本(死体標本)の上矢状静脈洞部,横・S状静脈洞,静脈洞交会部において,それぞれの切片を作成したが,標本の細胞構造の破壊が高度であったため,各種血管新生因子の染色は不能であった. 3.硬膜動静脈瘻症例における血管新生因子レセプターの免疫組織染色 別の3症例より採取した硬膜動静脈瘻の病理標本(罹患静脈洞)につき,連続切片のHE染色,各種血管新生因子とそのレセプター(Tie-2,FGFR-1〜2,FGFR-4,PDGF-A, PDGF-B, PDGFR-α,PDGFR-β,VEGF, VEGFR-1〜3)の免疫染色を行った. 硬膜内の動脈ではtie-2,PDGF-α,VEGF, VEGFR-3(Flt-4)が陽性であった.硬膜静脈洞の内皮ではすべての因子がどちらかの症例で陽性であったが,中でもTie-2,PDGFR-α,VEGF, VEGFR-3はすべての症例で陽性に染色された.脳組織の小動静脈ではこれらの血管新生因子はそれも陽性には染色されなかった. 4.硬膜動静脈瘻症例における抗クラミジア抗体の血清/免疫組織学的検出 硬膜動静脈瘻7症例の血清抗クラミジア抗体(IgG/A)を測定した結果,4例でいずれかの抗体価が高値であった.この陽性率はコントロール群と差がなかった.切除標本1例についてELISA法による免疫染色を行ったが,クラミジアは陰性であった.
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