研究課題/領域番号 |
13671446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
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研究分担者 |
後藤 恵 熊本大学, 医学部, 助教授 (50240916)
濱田 潤一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40253752)
生塩 之敬 熊本大学, 医学部, 教授 (20028583)
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 脳虚血耐性 / CREB / Akt / 海馬 / CRE-decoy / リン酸化反応 / 燐酸化反応 |
研究概要 |
動物モデルにおいて、非致死的な虚血負荷をあらかじめ与えておくと、引き続いて受ける致死的虚血に対して神経細胞障害が軽減される現象は虚血耐性として古くから知られているが、同様の現象はヒトの脳虚血でも認められることが最近報告されてきた。この現象が利用できれば、虚血に脆弱な脳組織を抵抗性なものに変化させることが可能となる。動物実験では、非常に高率に耐性獲得が再現できるのだが、現在のところ、そのメカニズムは十分に解明されてはいない。我々は、砂ネズミ一過性脳虚血モデルを用いて、細胞内情報伝達経路の解析を行なうことでこのメカニズムに迫ることを試みた。まず神経細胞のアポトーシスを抑制すると報告されている蛋白質リン酸化酵素Aktの活性化反応を致死的虚血と非致死的虚血(耐性獲得期)の両者で比較し、非致死的虚血後に持続性に活性化されることを明らかにした。またAktを活性化する薬剤を投与して、虚血に抵抗性となることを確認した。Aktを抑制する薬剤wortmanninを脳室内に投与すると、このAktの活性化は完全に抑制され、同時に耐性の獲得は起こらなかった。次に耐性獲得期において、Aktのターゲットの一つであるCREBの活性化反応を調べた。非致死的虚血後にCREBのリン酸化とDNA結合活性は一過性に上昇した。CREBとDNAの結合を特異的に抑制するCRE-decoyを脳室内に投与しておくと、耐性獲得は有意に阻害された。以上の結果より、Akt signalingとCREB活性化が脳虚血耐性の獲得に関与していることが明らかとなった。しかしながらこの効果も完全に耐性の獲得を説明できるものではなく、より鍵になる分子の検索を続ける必要があり、今後の検討課題としている。
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