研究概要 |
目的;我々は、今までに、尾部懸垂マウスモデルにおいて脛骨海綿骨量が、減少する事を明らかにした(T Sakata, J Bone and Miner res.)。また、骨形成には、血管新生は必須のプロセスであり、近年スペースフライトでの微少重力下で腓骨骨切りモデルにおける骨再生部の血管新生が減少すると報告された(Kirchen et al., Clin Ortho 1995)。しかし、非荷重による骨組織内軟骨内骨化部位での血管新生の形態学的及び分子生物学的検索は全くなされていない。本年度の目的は、非荷重における骨形態学的変化に、血管新生が関わるか分子生物学的手法を用いて否かを明らかにすることである。 方法;8週齢雄マウス(C57BL/NCrj)を使用した。1週間の尾部懸垂を行い、非荷重刺激とした。RT-PCR;急速凍結した脛骨を用い、AGPC法により脛骨total RNAを抽出し、1^<st>cDNAを作成し、これを鋳型としてVEGF, Flt-1,Flk-1,HIF-1alpha, HIF-1betaの遺伝子発現をRT-PCRで検索し、NIHimageを使用し、b-actinとの比を取り半定量を行った. 免疫染色;パラフィン包埋固定とし、5umに薄切した。LSAB法により染色を行った。 結果;HE染色像では一次海綿骨梁は、尾部懸垂後に低形成と成り、成長軟骨帯に侵入していく血管は低形成となっていた。VEGFの免疫染色で、コントロール群では、一次海綿骨の骨芽細胞及び肥大軟骨細胞に免疫陽性反応が認められ、1週間の尾部懸垂により著明に減少した。VEGFのmRNAの発現は、尾部懸垂により有意に低下していたが、Flt-1,Flk-1,HIF1αの発現は両群ともに発現し有意な差は認められなかった。 考察;1週間の非荷重刺激は、一次海綿骨でのVEGFの発現を低下させ、血管新生と血管侵入を抑制するとともに、骨量の減少を引き起こすということが示唆された。
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