研究概要 |
申請者はウサギおよびマウス敗血症動物を用いて,心血管系に発現するGsα蛋白の減少を減少させる原因として,ステロイド大量投与およびNF-kBデコイ核酸を用いた遺伝子治療を行い,NF-kB転写活性を抑制し,NF-kB転写活性がGsα蛋白の減少に部分的に関与することを見出した。また,活性酸素をスカベンジするエダラボンの投与により敗血症病態のGsα蛋白の減少を抑制できることを見出した。結果的にNF-kB活性を抑制すると,Gsα蛋白の減少を不完全ながらも抑制できることを心筋細胞で確認した。 この研究過程で,NF-kBデコイ核酸の遺伝子導入効率の高かった肺と心房筋での細胞内情報伝達系の治療効果を検討した。心房筋ではNF-kB活性に依存して,ヒスタミン合成が高まる可能性を見出し,また,敗血症病態でヒスタミン受容体H_1受容体とH_2受容体が上昇することを見出した。NF-kBデコイ核酸の遺伝子治療により,心房筋におけるH_2受容体の転写亢進は完全に抑制でき,H_1受容体とヒスタミン合成酵素L-ヒスチジンデカルボキシラーゼの上昇とGsα蛋白の減少を抑制できることを見出した。 また,敗血症では急性肺障害を合併するが,この新しい治療として,NF-kBデコイ核酸の遺伝子導入が有効であることを見出した。これらは,国内外の学会で多く講演し,現在,海外学会誌に投稿中である。
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