研究概要 |
橈骨動脈の血管反応性を検討するため,実体顕微鏡下に脂肪組織の剥離を行い,長さ約3mmのリング標本を作製する.リング標本に2本のステンレス製の支持器を取り付け,一方を緩衝液20mlを満たしたガラス製の水槽底部に固定し,他方を張力測定器(日本光電TB612T)に接続し,等尺性張力を測定した.KCl(60mM)による最大張力を至適張力とした.至適張力は4gであった.その際アセチルコリン(10^<-5>M)により血管の内皮機能を確認したがほとんど残存していないことが分かった.至適張力下にプロプラノロール10^<-5>Mにて処置しノルアドレナリン10^<-6>Mで収縮させた後にオルプリノンを10^<-8>〜10^<-4>Mで低濃度から順次投与し,パパベリン10^<-4>Mにて最大拡張を得る.各濃度の薬剤に対する張力から濃度-反応曲線を作成し,オルプリノンは濃度依存性に拡張させることが判明した.つぎに同様の方法にて収縮させた後にニコランジルを10^<-9>〜10^<-4>Mで低濃度から順次投与した.濃度依存的に拡張作用があることが判明した.またニコランジルはセロトニン,U46619,フェニレフリンによる前収縮後にも同様に濃度依存性に拡張させた.現在は至適張力下にプロプラノロール10^<-5>Mにて処置しノルアドレナリン10^<-6>Mで収縮させた後に,L-NAME(300μM)前処置群,グリベンクラミド(10^<-6>M)前処置群,未処置群の3群にニコランジルを10^<-9>〜10^<-4>Mで低濃度から投与し張力を測定している.
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