研究課題/領域番号 |
13671589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
足立 尚登 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50253315)
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研究分担者 |
新井 達潤 愛媛大学, 医学部, 教授 (50033436)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 肝性脳症 / モノアミン / ドパミン / アミノ酸 / グルタミン酸 / フルマゼニル / マイクロダイアリシス / ラット / セロトニン |
研究概要 |
ベンゾジアゼピン受容体遮断薬であるフルマゼニルが、肝性脳症の改善に有効であるという報告がこれまでにある。また、ベンゾジアゼピン受容体刺激が、中枢モノアミン神経活動に影響をおよぼすことも知られている。中枢モノアミン神経活動は動物の行動に深く関与するので、中枢モノアミンとアミノ酸代謝におよぼすフルマゼニルの効果を、ラット急性肝不全モデルを用いて検討した。 ラットの左門脈を90分間クリップで閉塞して、肝臓に虚血を負荷した。フルマゼニルは血流再開0、6、24時間後に、3回それぞれ1mg/kgを腹腔内に投与した。マイクロダイアリシスのプローブを右線条体に挿入し、神経伝達物質としてのアミノ酸、モノアミン、およびその代謝物の濃度変化を検討した。実験動物群として偽手術群、肝虚血群、肝虚血フルマゼニル処置群の3群を用いた。 肝虚血群と肝虚血フルマゼニル処置群の動物には、血液検査と組織検査の結果、虚血負荷24時間後に重度の障害が認められた。線条体での細胞外液中ドパミン濃度は、急性肝不全によって変化しなかったが、その代謝物である3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸濃度は、肝虚血群で偽手術群の39%に低下した。フルマゼニル処置によりその低下は完全に回復した。セロトニンとその代謝物に関しては、3群間で差がなかった。肝虚血群のグルタミン酸濃度は、偽手術群の42%であった。フルマゼニル処置によるグルタミン酸濃度の明らかな変化は、認められなかった。肝虚血24時間後、動物の自発運動が低下した。フルマゼニル投与により、自発運動の改善が認められた。 ドパミン代謝物の変化は、ドパミン神経代謝を反映しているので、急性肝不全によってドパミン神経代謝が抑制されたと考えられる。フルマゼニルによるこの回復は、この薬物が肝性脳症を改善する一要因であると考えられる。
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