研究概要 |
Lymnaea培養シナプスにおいてcurrent-clamp細胞内記録を行い,そのドパミン(DA)伝達およびそれに対するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の関与を調べた.また,それらに対する揮発性麻酔薬の影響について調べた. 対象と方法:本実験には淡水棲カタツムリLymnaea stagnalisを使用し,その呼吸運動中枢ニューロン(RPeD1)とVD2/3の細胞体-細胞体シナプス培養標本に対して,current-clampテクニックを使用した細胞内記録を行った.形成される興奮性シナプスの静止時と自発発火時における基本的特性,そしてDA(10μM)の瞬時投与による模倣反応を記録し,controlとした.controlに対するD2,ACh antagonistの影響を投与時とwash後で調べ,同様に揮発性麻酔薬sevofluraneの影響も調べた. 結果:DA, ACh antagonist (sulpiride, d-tubocurarine)(20μM),臨床濃度(0.5-4%)のsevofluraneは,いずれも濃度依存性に抑制効果を示し可逆性であった.またVD2/3単独とシナプス形成時のVD2/3へのDAの瞬時投与に対する抑制効果はほぼ同程度であった. 考察:RPeD1-VD2/3興奮性シナプス反応はsulpirideだけでなくd-tubocurarineによっても抑制されることから,このシナプスへのnAChRの関与が考えられる.また,sevofluraneは,特に後シナプスにおいて強く作用すると考えられた.
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