研究概要 |
1.過活動膀胱ラット・モデルに対するβ_3-アドレナリン受容体(AR)作動薬の効果.・・_3-AR作動薬CL316243の静脈内投与は,血圧・心拍数に影響を与えない用量で,脳梗塞ラットの過活動膀胱およびProstaglandin E_2膀胱内注入によって誘発される過活動膀胱に対して,抑制効果を示すことを明らかにした. 2.P2×3受容体と排尿反射調節機構.無麻酔下ラットにおいて,1)P2X受容体刺激薬ATP(0.1-10mM)を膀胱内に注入すると用量依存性に過活動膀胱を誘発すること,2)このATP誘発過活動膀胱はP2×3阻害薬TNP-ATP(0.5-5.0・M)の膀胱内前投与によって抑制されること,3)TNP-ATPの膀胱内注入は,それ自体,排尿間隔を延長し,膀胱容量および1回排尿量を有意に増加させることを示し,膀胱の尿路上皮下に分布する知覚神経はP2×3受容体を介して膀胱伸展刺激の求心性神経伝達に関与することを明らかにした. 3.バニロイド膀胱内注入療法の臨床的検討.脊髄損傷患者7名にカプサイシン(2mM,100ml)膀胱内注入療法を行い,排尿筋過反射のみならず自律神経過反射の抑制に対しても有効であることを明らかにした.過活動膀胱4名および間質性膀胱炎患者5名を対象に,レジニフェラトキシン(1・M,100ml)膀胱内注入療法を行ったところ,過活動膀胱4名中3名,間質性膀胱炎患者5名中4名に,症状の改善が得られた. 4.結語.以上の結果より,β_3-AR作動薬や膀胱知覚神経を標的とするバニロイドやP2×3阻害薬は新しいタイプの膀胱蓄尿障害治療薬として期待しうることが示唆された.
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