研究概要 |
加齢促進マウス(SAM)を用いて,以下の研究を行った. コントロール群として14週齢と1歳の正常マウスを,加齢群として1歳のSAMと2歳の正常マウスを用いた.ウレタン麻酔下に膀胱頂部よりカテーテルを挿入し,三方活栓を用いて生理食塩水注入路と膀胱内圧測定路とした.膀胱内に生理食塩水を注入し(0.02ml/min),排尿反射のたびに膀胱内を空にするsingle cystometryを施行し下部尿路機能を評価した. コントロール群では14週齢正常マウスと1歳正常マウスの間に差は認めなかった.14週齢正常マウスでは,排尿閾値圧9.4cmH2O,膀胱コンプライアンス0.018ml/cmH2O,排尿時の最大膀胱収縮圧は35.9cmH2Oであった.加齢群でも1歳のSAMと2歳の正常マウスの間に差は認めなかった.1歳のSAMでは排尿閾値圧36.3cmH2O,膀胱コンプライアンス0.007ml/cmH2O,排尿時の最大膀胱収縮圧は44.4cmH2Oと,コントロール群に比べて閾値圧は有意に上昇,コンプライアンスは有意に低下していたが,最大膀胱収縮圧には有意差を認めなかった. 以上の結果より, 1 1歳のSAMと2歳の正常マウスの下部尿路機能に差はなく,SAMは加齢による下部尿路機能障害の実験動物モデルになりうると思われた. 2 加齢群では加齢群では膀胱からの求心性線維と交感神経系が主に障害され,副交感神経系の障害は軽度と思われた.
|