研究概要 |
2-amino-4,5-diphenylthiazole (DPT)を飼料中に1%混合して継続投与することによって、ラットで嚢胞腎が誘発される。このモデルの腎において早期に発現が変化する遺伝子をdifferential display (DD)法にて検索し、硫酸転移酵素sulfotransferaseのひとつSULT1C2のmRNAの発現がDPT投与によって低下することを見出した。 その後、この単離したSULT1C2遺伝子を大腸菌で発現させ、リコンビナント蛋白の硫酸転移酵素としての性質を調べた。マウスSULT1C2のORFをPCRにて増幅し、pET-17bベクターに挿入した。この際PCRのアンチセンス・プライマーを修飾して蛋白C末端こ5個のヒスチジン残基を添加するようにした。大腸菌DH5αをトランスフォームし、リコンビナント蛋白の発現をIPTGにて誘発した。リコンビナント蛋白は、Ni^<2+>-NTAアガロースカラムにて精製し、SDS-PAGEにて予想された約34kDのバンドを確認した。 この精製したSULT1C2-Hisを用い、[^<35>S]PAPSを硫酸基供与体として、p-ニトロフェノール、ドーパミン、2-ナフトールおよびDPTを基質(硫酸基受入体)として硫酸転移活性の有無を調べた。その結果、p-ニトロフェノールを基質として活性を示したが、親和性が低く(Km=3.1mK)生依内での本来の基質でない可能性がある。生体内での生理的基質および機能は明らかではないが、SULT1C2は細胞膜や基底膜の構成成分プロテオグリカン等の硫酸基の付加に関わっている可能性が考えられる。
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