研究課題/領域番号 |
13671710
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
|
研究分担者 |
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | Extravillous trophoblast / 癌浸潤機構 / DPP-IV / ケモカイン / ephrin / 絨毛細胞 / 浸潤 / 癌浸潤 / 癌転移 |
研究概要 |
着床成立・胎盤形成時に母体子宮内膜に浸潤する絨毛細胞の主体をなすExtravillous trophoblast(EVT)は、無制限な浸潤能を有する癌細胞とは異なり、母体側への浸潤深度・妊娠経過に伴いその浸潤能が低下する。我々はこのEVT特有の浸潤制御機構を解析することを目的とした解析を行い、その結果EVTに発現する種々の分子がEVTの浸潤制御に関与することを見出した。更にこれらの分子の1つCD9抗原がヒト子宮内膜癌由来細胞株の浸潤制御にも関与していることが判明したことから、EVTに発現する分子-EVT関連分子-が癌の浸潤・転移制御にも関与する可能性が示唆された。そこでEVTを対象とした我々の検討から得られた情報を基に、本研究ではEVT関連分子の癌浸潤・転移における機能につき解析することをその目的とした。 まず正常女性骨盤臓器・婦人科癌組織におけるEVT関連分子の発現を検討したところ、浸潤能の低下したEVTに発現するDipeptidyl peptidase IV(DPP-IV)は子宮内膜の癌化に伴いその発現が低下し、一方未分化な絨毛細胞に発現する機能未知の分子EST9は子宮内膜においては一部の子宮内膜癌にのみその発現が確認された。その他のEVT関連分子であるephrin A1はその受容体であるEph Aと共に正常子宮内膜、子宮内膜癌にその発現を認めた。次にこれらの分子の機能を解析したところ、DPP-IV活性はケモカインであるRantesの分解を介して絨毛癌細胞株の浸潤能を抑制することが判明した。 以上の結果より、近年血球細胞の遊走における役割が注目されているケモカインや神経血管系の発達・分化における重要性が注目されているephrin-Ephシステムが癌細胞の浸潤・転移機構にも関与する可能性が示唆され、特殊な浸潤能を有するEVTに発現する分子を手掛かりとした解析により癌浸潤機構における新たな知見が得られる可能性が示唆された。
|