研究概要 |
体外受精時に採取した卵胞液中のレプチン濃度は,卵胞液中のIL-8およびプロゲステロン濃度と有意な正の相関を,エストロゲン濃度と有意な負の相関を示した.そこで,顆粒膜細胞においてレプチン,IL-8および性ホルモンとの関連を知るために以下の検索を行った.顆粒膜細胞腫より樹立されたKGN細胞と体外受精の採卵時に採取した顆粒膜細胞(GCL : granulosa lutein cells)におけるレプチン受容体(OB-R), IL-8およびIL-8受容体(Type A)の遺伝子発現をRT-PCR法にて検索した.両細胞においてレプチン受容体(OB-R)とIL-8遺伝子の遺伝子発現を認めたが,IL-8受容体遺伝子の発現はみられなかった.KGN細胞とGLCにレプチン,性ホルモン(E2,P4),ゴナドトロピン(LH, FSH)を添加し,培養上清中のIL-8濃度をELISAで測定した.GCLにおいては性ホルモンおよびゴナドトロピン添加による影響を認めなかったが,KGN細胞ではIL-8産生がE2およびP4添加により増加した.一方,両細胞ともにレプチン添加とIL-8産生との関連は認められなかった.次に,レプチンのKGN細胞およびGLCへの抗アポトーシス作用を検討した.培養液中の血清除去により誘導したアポトーシスをHoechst 33258染色により評価したところ,レプチンの添加は顆粒膜細胞のアポトーシスを抑制した.さらに,BaxとBc1-2との関連を検索したが,これについては一定の結果が得られなかった.
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