研究課題/領域番号 |
13671798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00169179)
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研究分担者 |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (90169219)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 感音難聴 / 転写因子 / 一過性域値上昇 / AP-1 / 酸化的ストレス / c-Fos / HIF-1 / 音響外傷 / C-FOS / c-FOS |
研究概要 |
強大音負荷によるTTS (temporary threshold shift)とPTS (permanent threshold shift)における蝸牛組織内転写因子の活性化の違い、およびレドックス感受性遺伝子転写制御因子の一つであるHIF-1(hypoxia-inducible factor)の発現について検討した。実験には有色モルモット(Brown Takei、体重200-300g)合計45匹を使用した。中耳炎などに起因する難聴を有さないことを確認するためプライエル反射陽性を確認した。モルモットを騒音箱中に設置したゲージに入れ、4kHzを中心としたオクターブバンドノイズ110dB SPLを0,1,5時間負荷した。TTS負荷モデルの蝸牛コルチ器で、主に支持細胞核にc-Fosの発現を認めた。c-Fosは酸化的ストレスの結果、転写因子AP-1(activator protein-1)の構成蛋白として誘導されたものと推定された。c-Fosの他のAP-1構成タンパクの発現を検討すると、少なくともc-Fosの他にFra-2,c-Junがヘンゼン細胞、クラウディウス細胞、ダイテルス細胞など支持細胞に発現することが確認された。発現は、蝸牛基底回転から第2回転に確認され、音響負荷の直接的影響を受ける領域よりも広範に生じていた。また、音響負荷1時間という比較的早期にも広範な発現が確認された。より長い5時間音響負荷により、外有毛細胞直下のダイテルス細胞に発現が現れた。以上の結果から、AP-1構成タンパクが音響外傷における蝸牛障害において防御的機能を有することが示唆された。また、それらが発現するコルチ器支持細胞が、迅速に防御機能を作動させている可能性が示唆された。また、HIF-1の発現について音響負荷モデルを用いて検討した。強大音負荷を行ったモルモットにおいては蝸牛感覚上皮の外有毛細胞において明らかなHIF-1の、発現が認められたことから、酸化的ストレスに応答する種々の遺伝子発現を制御していると考えられた。HIF-1の発現の研究を含めて、内耳障害における転写制御のメカニズムを解明することは、突発性難聴をはじめとする急性感音難聴のメカニズム解明および治療につながるものと考えられ、今後さらに検討する必要があると考えられた。
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