研究概要 |
TGF-β super familyは歯の形成過程において中心的な役割をしているものと考えられる。この作用はBMPなどと拮抗作用を持つNogginやなどの成長因子の相互作用に依るものと考えられる。また近年,転写因子Smads famly (mothers agaist mad)がTGFβ super familyのsignal伝達機構を調節しており,このsignalは転写因子CBFA-1(core binding protein)と関連していることが報告されたが,歯の形成過程におけるSmadに関する研究は行われていない。そこで,TGF-β super family, CBFA-1,Smad family,細胞外マトリックス合成にいたる蛋白の局在と遣伝子発現を検索した。 各成長因子の局在と遣伝子発現は一致していた。また,TGF-βおよびBMPとその特異的receptorの局在も一致していた。しかし、Nogginは歯胚には発現しなかった。歯胚における局在は雷状期では,歯蕾中央部および歯小嚢の間葉細胞に強かった。帽状期では,エナメル器やprimary enamel knotの上皮細胞に強かった。鍾状期では,secondary enamel knotの上皮細胞に強い。また,きわめて強い免疫反応が咬合面の厚いエナメル質が形成される部位の分泌期エナメル芽細胞にみられた。生後の歯胚では,免疫反応は咬頭付近のエナメル芽細胞,象牙芽細胞に見られた。歯根形成期ではHertwig上皮鞘付近でエナメル芽細胞およびセメント芽細胞にみられた。 Nogginの選伝子は歯の形成課程を通して歯胚にみられなかった。 歯の形成課程では、CBFA-1はBMP-4とともに上皮・間葉signal伝達物質として作用し,signalはSmad familyによって仲介されているものと考えられた。
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