研究概要 |
三叉神経運動神経細胞に結合するGABA性の神経終末とシナプス,またシナプス後膜に観察されるGABA_A, GABA_Bレセプター,グリシンレセプターを光顕的,電顕的に解析し,生後発達について考察することを目的とした,実験にはWistar系ラット(生後1-35日齢)を灌流固定の後,横断連続切片を作製,免疫組織化学的に三叉神経運動核内のGABA免疫陽性神経終末,上記のレセプターを標識し,共焦点レーザー顕微鏡または電子分光形分析電子顕微鏡にて観察した.その結果,生後7日齢の実験動物では三叉神経運動核の領域内でグリシンレセプターが背外側部に限局して観察されたが,28-35日齢の実験動物では免疫活性が消失し,GABA_A,GABA_Bレセプター免疫陽性構造が三叉神経運動核全域の運動ニューロンの細胞質に認められた.電顕的には細胞質が電子密度の高く標識された軸索一樹状突起性および軸索一細胞体性GABA陽性神経終末が多数観察された.これらは球形のシナプス小胞を含み,非対称性の膜肥厚を形成していた. 以上の結果より,三叉神経運動ニューロンには,GABA,グリシンおよびそれらのレセプターの分布があり,実験動物の顎運動が吸啜運動から咀嚼運動に移行する際に,制御する神経回路において大規模なリモデリングの生ずることが示唆された.
|