研究分担者 |
笠井 昭夫 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (00335613)
矢谷 博文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80174530)
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00225195)
完山 学 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90294420)
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研究概要 |
我々は,当院で口腔インプラント治療を受け,メインテナンス中の全患者64名に対し,歯周病の病態把握に用いる分子生物学的手法,すなわち歯周病原因菌に対する末梢血清抗体価の測定,PCR法を用いたPICF中の細菌検査を行っている.その結果を踏まえ,継続管理を行っているが,インプラント周囲の重度の骨吸収を呈するインプラント周囲炎患者4名を経験した.そこで,この4名の患者に対し,インプラント周囲歯肉溝滲出液中(PICF)の好中球コラゲナーゼ(MMP-8)の検出を試みた.また,このインプラント周囲炎患者4名のうち同意が得られた3名に対し,従来の歯周外科治療を行い,臨床検査およびMMP-8を用いた生物学的手法で治療効果を検討した. [方法] 1.対象はインプラント周囲炎患者4名とし,年齢,部位等をマッチングさせた患者をメンテナンス中の全患者64名から4名抽出し,コントロールとした. 2.また,インプラント周囲炎患者4名のうち治療の同意を得られた3名に対し,歯周外科を行った. 3.申請者らが妥当性を検討した方法を用いて,歯周外科施術前後にPICFを採取した.また,従来行われている歯周検査,術前および術後3カ月には規格化レントゲン撮影を行った. 4.採取したPICF中のMMP-8の検出は抗MMP-8モノクロナール抗体を用いたWestern blottingにより行った. [結果] 1.進行性の骨吸収が認められるPICF中からのみMMP-8が検出され,MMP-8と骨破壊進行程度との関連性を示唆する結果を得た. 2.歯周外科施術前にはMMP-8が検出されたが,施術後には検出されなかった.また,3カ月後のレントゲン所見では,術前と比較して,骨吸収の程度は「変化なし」もしくは「骨添加」が認められた.すなわち,PICF中のMMP-8は,治療効果の判定にも有用であることが示唆された.
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