研究概要 |
遠心発射型研磨装置を使用した純チタンクラウンの研磨術式を確立するため,まずこの装置の研磨用コアに付着させる研磨砥粒に,ダイヤモンドの微粉末を配合した場合の効果について検討した.JIS第2種純チタンを鋳造して研磨用試料を作製し,遠心発射型研磨装置で衝射時間を10,20、30,40,50,60秒と変えて研磨を行った.研磨砥粒はオリジナルの炭化ケイ素に他に,ダイヤモンドの微粉末をそれぞれ20wt%,40wt%配合した3種類を使用した.研磨後表面粗さ測定器を用いて試料研磨面の算術平均粗さ(Ra)と最大高さ(Ry)を測定した. その結果,どの研磨砥粒を使用した場合でも,衝射時間が長くなるに従ってRa,Ryとも値は低下した.また同じ衝射時間では,ダイヤモンド微粉末を配合した研磨砥粒の方が,オリジナルの研磨砥粒よりも小さな値を示したが,その差はわずかで20wt%と40wt%の間で差は認められなかった. 次に遠心発射型研磨装置による研磨が,チタンクラウン辺縁にどのような影響を及ぼすか検討するため,JIS第2種純チタンおよびTi-6Al-7Nb合金を使用し,クラウンの辺縁形態を想定した辺縁角度が30度,45度,60度の板状試料を作製した.この試料を遠心発射型研磨装置で衝射時間を40,60,90秒と変えて研磨を行った後,辺縁の短縮量を算出した. その結果,JIS第2種純チタン,Ti-6Al-7Nb合金共,角度の違いによる辺縁の短縮量には,ほとんど差は認められなかった.また衝射時間が長くなるほど,短縮量は多くなる傾向が認められたが,その値は角度30度、衝射時間90秒の試料でも約15μm程度と,予想より少なかった.したがって、遠心発射型研磨装置をチタン鋳造冠の研磨に用いても,辺縁の形態変化にはほとんど影響を及ぼさないことが示唆された.
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