研究分担者 |
小松原 秀紀 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
横尾 聡 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (00322206)
奧 尚久 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
奥 尚久 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
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研究概要 |
腺様嚢胞癌(ACC)はまれな唾液腺悪性腫瘍で,増殖速度は緩慢であるが,びまん性に浸潤し高率に肺転移がみられることが特徴である.ACC患者の治療成績向上のためには,局所制御だけではなく遠隔転移の治療が重要であるが,これまでACCの動物実験モデルがなかったこともあり,その生物学的性状や転移に対する治療については不明な点も多い.われわれはACCのin vivo転移モデルを作製するとともに,抗癌剤の有効性について検討を行い,以下の結果を得た. 1.ヌードマウス皮下で継代可能なヒトACC株を樹立し,KOA-1と名付けた.KOA-1の倍加時間は9.3日で,22代継代した後でも,solid pattern優位のACCの組織学的特徴を保持していた.KOA-1をマウス皮下に移植すると,3か月後に約17%の動物で組織学的に肺転移が確認できた. 2.ヒトβグロビン遺伝子を標的としたPCR法を用いると,皮下移植2か月後で33%,3か月後で50%の動物に転移陽性反応が確認できた. 3.In vivo selection法により,KOA-1の高悪性subline(KOA-1L3)を分離することに成功した.KOA-1L3の倍加時間は1.3日で,皮下移植1週間後から肺転移が確認できた. 4.KOA-1腫瘍に対してpirarubicinnとdocelaxelは無効であったが,5FUとCDDPは抗腫瘍効果が認められた.特にCDDPと5FUの併用投与が最も効果が高かった.
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