研究概要 |
1.ヒト頭頸部癌細胞株と正常ヒト口腔粘膜上皮細胞及び唾液腺細胞における転写因子NFκB活性を検索したところ、頭頸部癌細胞株においては正常細胞に比較して著しい活性の増強が認められた。そしてこの活性の増強は、IκB kinase活性の上昇に起因していることを明らかにした(Cancer Lett,171:165-172,2001)。 2.口腔癌細胞株に変異型IκBα cDNAを遺伝子導入した細胞クローンを樹立した。これらの細胞クローンにおいては、ヌードマウス背部皮下での造腫瘍性の低下が認められ、これは、NFκBによって発現調節をうけている血管新生因子(IL-8,VEGF)の産生低下によることを明らかにした(日本口腔組織培養学会,10:45-54,2001)。 3.5-Fluorouracil(5-FU)のヒト唾液腺癌細胞に対する抗癌分子機構には、5-FUによるNFκB活性の低下を介した抗アポトーシス蛋白の発現抑制が関与していることを明らかにした(Biochem Biophys Res Commun,282:292-296,2001)。 4.セファランチンはヒト唾液腺細胞において、TNF-αによって誘導されるNFκB活性を抑制することにより、MMP-9産生を低下させることを明らかにした(Arthritis Rheum,46:1585-1594,2002)。 5.ヒト唾液腺細胞において、TNF-αによって誘導されるアポトーシスからの回避機構として、TNF-αによる抗アポトーシス蛋白であるTRAF-1の誘導が重要であることを明らかにした(Exp Cell Res,276:111-119,2002)。 6.シスプラチンの口腔癌細胞に対する殺細胞効果はミトコンドリアの経路を介して、cytochrome cの遊離を増強させることによりアポトーシスを誘導することを明らかにした(Oral Oncol, in press)。
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