研究概要 |
今回,我々はリアルタイム脳波成分解析・自律神経モニターを用いて,患者のストレスや緊張の程度の観察,行動薬理学的観察装置を導入した行動観察,ラディオアイソトープを用いた試験管内での結合実験,ホルモン分泌の定量,プロトン-NMRを用い広範な生物学的活性を有する内因性神経活性物質であるイサチン分析を加えた総合的な研究を行った。 ・脳波成分を解析した結果,脳波:β波(13〜30Hz)成分はペンタゾシン・ミダゾラムの併用与薬で増加し,鎮静状態が遷延した。 ・交感神経活動はペンタゾシンで増加,ミダゾラムで低下した。ペンタゾシン・ミダゾラムの交感神経への影響は対極的作用であった。 ・副交感神経活動はペンタゾシンで増加し,ミダゾラムにて低下した。 ・口腔粘膜下へのエピネフリン添加局所麻酔液の注入で,エピネフリンの副腎静脈濃度は減少し大腿動脈濃度では増加した。 ・鎮静終了2時間後の不安は,鎮静剤と鎮痛剤の併用与薬による影響を認めなかった。 ・鎮静後の嘔気・嘔吐とふらつきの誘発は鎮痛剤の併用与薬によって増大した。 ・鎮静剤と鎮痛剤を併用の副作用を皆無とする併用与薬方法を見出せなかった。 ・HPLS用蛍光誘導体化試薬として生体内機能や生体内動態解明に応用可能な,イサチンに対する高速液体クロマトグラフィー用の蛍光誘導体化試薬:チアゾール-クマリン誘導体3-(4-chloromethylthiazol-2-yl)-7-diethylaminochromen-2-one,3-(5-acetyl-4-methylthiazol-2-yl)-7-diethylaminochromen-2-oneを開発・合成した。 今後は,臨床に還元できる行動観察,リアルタイム脳波成分解析・自律神経モニターを用いた実験と生化学的な実験を組合わせた研究を推進し,「歯科の患者と医療者にとって安全で快適な状況での手術と処置,周術期管理」を提供するために専心努力し,貢献したいと考える。
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