研究概要 |
歯周病の予防は,歯周病原性細菌の存在およびそれらに対する生体防御機構の解明が為されることにより有効な方法を模索することができる。本研究ではヒト好中球の走化能に関わる遺伝子診断を行うことにより歯周病罹患に対するリスクの一つを判定することである。歯周病に対するリスクを判定することができれば被検者に非常に有益となる。本研究により将来の歯周病に対して歯科医学上非常に有益となると考えられる。 広島大学歯学部ヒトゲノム倫理委員会の承認(第(ヒ)1号)を得て,前思春期性歯周炎の患児およびその同家族の採血を行った。対象は5家族で,研究に際しては文章による説明と同意を得ている。 【方法】 1.好中球走化能試験 末梢静脈血5mlを採取し,直ちに好中球を分離した。fMLP存在下および非存在下で37℃,1時間,炭酸ガス下でincubateした。Zigmond chamber法にて好中球走化能を測定した。 2.リアルタイムRT-PCRによるfMLP receptorの定量 好中球を回収し,total RNA抽出後,リアルタイムRT-PCRにてfMLP receptor mRNA量を定量した。G3PDHを対照mRNAとし,その比によってfMLP receptor mRNA量を算出した。 【結果】 1.前思春期性歯周炎に罹患した小児の好中球走化能は,対照に対して6.7〜83.7%程度で,著しく低下していたものがあった。 2.PPに罹患した小児では対照に比べてfMLP刺激によるfMLP mRNA量は増加するもの(1.18〜8.37倍)と減少するもの(0.05〜0.08倍)の両方が認められたが,走化能はいずれも低下していた。 3.今回,設計したPCRフラグメントには変異部位を特定することができなかった。 【結論】 走化能が低下はfMLP mRNAが増加しているパターンと減少するパターンの2種類が認められた。今回,設計したPCRフラグメントには変異部位を特定することができなかった。
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