配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
研究概要 |
我々はこれまでにParphyromonas gingivalis(以下P.g)のペプチドグリカン合成過程に重要な酵素の一つであるmurC遺伝子の構造と機能を明らかにした。この領域は大腸菌におけるmra領域(murein synthesis cluster a)に相当しており、murC遺伝子の下流に3つのORFが存在し、それぞれが大腸菌のFtsQ、FtsAおよびFtsZに対して高いホモロジー(16%,33%,54%)を示すことがわかった。P.gFtsZは、他菌種FtsZと同様にGTPase活性を有するが、以下の点でユニークな性質を示すことがわかった。すなわち、1)GTPase活性がNa^+やK^+によって活性が阻害されること、2)Mg^<2+>非存在下でも活性を有すること、およびEDTAによって活性が阻害されないことが明らかとなった。また、P.gFtsZのC末端deletion mutantを作製して、大腸菌におけるfilamentationの変化を観察したところ、C末端から177アミノ酸をdeletionしたmutantでは、filamentationがみられなくなることからT281からR329の49アミノ酸残基内にP.gFtsZの機能に重要な領域が存在することが示唆された。そこで細菌由来のFtsZについてアラインメント分析を行ったところ,A320を中心とした10残基からなる保存領域が存在することを見いだし,A-domainと名付けた。site-directed mutagenesis法により作製されたAla320をターゲットにした2つの点変異株(A320HおよびA320R)では,P.gFtsZタンパクの発現によってfilamentationが観察されず,コントロールと同様の形態を示した。またA-domainのG322の点変異株(G322PおよびG322H)においても同様の結果であった。これらの結果からP.gFtsZのAla320とGly322が細胞分裂に重要な役割を有していることが示唆された。A-domainはA.actinomycetemcomitans、T.denticola、P.intermediaなどの歯周病原因菌においても存在しているおり、A-domain内のAlaおよびGlyはこれらすべての細菌に高く保存されていた。今後細胞分裂因子を標的としたマルチプレックスPCRを用いた歯周病原因菌の識別システムを開発し、歯周病の病態との関連を解析する予定である。
|