研究概要 |
早期発症型歯周炎(early-onset periodontitis : EOP)の進展には,遺伝子を含む多くの宿主リスク因子が関わる。本研究では,EOPの進展に早期老化が関与する可能性を検討する目的で,末梢血白血球のテロメア長および歯肉由来線維芽細胞の継代培養ごとのテロメア長の短縮率をEOP患者および同年代の健常者との比較から調べ,EOPの進展におけるテロメアの関わりを考察した。 EOP患者21名および健常者50名から末梢血を採取し,上記の被験者10名を含むEOP,患者6名および健常者7名の歯肉を採取し,老化細胞になるまで継代培養した。末梢血白血球および歯肉線維芽細胞からゲノムDNAを抽出し,サザンハイブリダイゼーションによってテロメア長を調べた。EOP患者および健常者群間で末梢血白血球のテロメア長に有意差はなかった。テロメア長の年間短縮率は,年齢に対して有意な負の相関を示し,2群間で有意差はなかった。被験者間のテロメア長は,大きな個体差を示し,テロメア長が極端に短いEOP患者が存在した。歯肉線維芽細胞の継代ごとのテロメア長の短縮率には両群間で差がなかった。 この結果は,EOP患者は群で見る限り,全身および局所レベルにおいてテロメア長の短縮を示さなかったが,テロメア長の短いEOP患者亜群を集め,これら患者の細胞機能を解析する事で,早期老化の関わるEOPの進展がより詳細に考察できるものと思われる。
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