研究概要 |
申請者らは今まで抗セメント質由来細胞接着因子(CAP)作製し、ウシ歯胚内でこの抗体がセメント質とセメント芽細胞を特異的に認識する事を確認してきた。(M.Saito et Al.,Bone.2001 Sep;29(3):242-248)そこで本研究ではセメント芽細胞を採取する目的で、ウシ歯小嚢より細胞を分離培養し、解析を行った。得られたウシ歯小嚢細胞(B-ovine Dental Follicle Cells : BDFC)の特性は、低いアルカリフォスファターゼ活性を有しておりosteonectin(ON),osteopontin(OP),type I collagen(COLI)を発現しているがCAP, osteocalsin(OC),bone sialoprotein(BSP)発現していない未分化な細胞集団であることが判明した。そこでBDFCの分化能力を検証するために、免疫不全症マウスへの皮下へ移植実験を行った。その結果、BDFCは抗CAP抗体に陽性なセメント質を形成し、またBSP, OC, OR, COLIすべてを発現するセメント芽細胞に分化することが確認された。これらの実験よりBDFC中にセメント芽細胞前駆体が存在し、この細胞集団はin vivoで分化能力を有している特性を有している事が判明した。次にセメント芽細胞前駆体をクローニングするためヒトパピローマウイルスE6とE7(HPVE6E7)とヒトテロメラーゼ逆転写酵素サブユニットであるhTERTの遺伝子を導入して不死化BDFCを作製した。その結果、100回以上継代可能な不死化細胞であることが確認された。今後は不死化BDFCのセメント芽細胞への分化能を検討し、さらにはこの細胞よりセメント芽細胞前駆体をクローン化する予定である。
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