研究課題/領域番号 |
13672283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30240849)
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研究分担者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | PACAP / 遺伝子改変マウス / 精神行動 / prepulse inhibition / 統合失調症 / 神経可塑性 / 記憶・学習 / 行動薬理学 / 遺伝子欠損マウス / アンフェタミン / LTP / 記憶 / 好奇心 / 探索行動 / 不安 / セロトニン / SSRI |
研究概要 |
本研究は、ニューロペプチドPACAPの高次脳・精神機能調節を明らかにすることを目的として、PACAP欠損マウスを用いて検討を行い、以下の研究成果を得た。 1.PACAP欠損マウスはオープンフィールドにおいて探索的自発運動亢進および異常ジャンプ行動を示す。これら異常行動はドパミンD2受容体遮断薬ハロペリドール、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)によって抑制された。 2.好奇的探索行動及び不安関連行動をオープンフィールドにおける中心部の滞在時間、高架式十字迷路、novel object試験、emergence試験によって解析し、本マウスは好奇心が亢進し、不安関連行動が低下していることを明らかにした。 3.音刺激驚愕反応プレパルス抑制(PPI) (1)PACAP欠損マウスのPPIは4週齢では野生型と同等であるが、6週齢以降で減弱(障害)することから、ヒト"発達障害仮説"に相似する可能性が示唆された。 (2)このPPI低下は、ハロペリドールでは改善されないが、アンフェタミンによって改善された。 4.アンフェタミンは、本変異マウスの異常行動も、逆説的に改善することが明らかになった。 5.PACAP欠損マウスの海馬切片におけるシナプス伝達長期増強(LTP)について検討した結果、シナプス特異的LTP障害が観察された。さらに、PACAPヘテロ欠損マウスおよびPACAP1型受容体欠損マウスにおけるLTPを、in vivo電気生理学的手法を用いて検討し、遺伝子用量依存的なLTP障害を認めた。 6.行動薬理学的解析(水迷路、Y迷路、恐怖条件づけ連合学習試験等)により、記憶形成および保持過程においてPACAPシグナルが果たす役割を明らかにした。 以上の各成績により 1)PACAP欠損マウスがヒト統合失調症あるいはADHDと類似した病態を呈することが明らかになり、2)PACAPがヒト精神病態発現に関わる因子である可能性が示され、さらに 3)本ペプチドの高次脳・精神機能調節機序の一端が解明されたものと考えられる。
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