配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
リーリンは脳の発生過程において神経細胞が規則的な層構造を形成する際の神経細胞の位置決定分子として同定されたが、その作用機構の詳細は不明であった。報告者はこれまでにリーリンの機能発現にはその会合体形成が極めて重要であることを示しており(PNAS, USA,97,9729-9734(2000))、その後、本科学研究費補助金を受けてさらに会合体形成の分子機構を解明するために、会合体形成に必要不可欠であるCR-50エピトープ部位の同定及び、その構造と物性の解析を中心に研究を進めてきた。リーリンはアミノ酸3461残基からなる巨大な蛋白質分子である。このうちN末端の370残基のアミノ酸がリーリンの機能阻害抗体CR-50のエピトープであり、その部位はα-helix 20%,β-sheet 40%という構造であり、この構造に基づき会合体形成能を示した。さらにCR-50エピトープ部位のすぐ上流に位置するF-spondinとのアミノ酸配列の相同性を有する部位(以下、F-spondin様部位と記す)について構造、物性の解析を行った。F-spondin様部位の2次構造を解析したところ、α-helix 20%,β-sheet 50%のβ型蛋白質であり、また、ゲルろ過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法により解析したところ、F-spondin様部位は多量体を形成していることも明らかになった。この結果からリーリンの機能発現に深く関わっている会合体の形成にはCR-50エピトープ部位のみならず、そのすぐ上流のF-spondin様部位も密接に関連していることが明らかになった。次にCR-50エピトープ部位の下流のリーリンリピート(リピートI〜VIII)と名付けられたアミノ酸配列の相同性の高い、くり返し8個存在するリピート部位に着目した。このうちの一つ、リーリンリピート1を選んで蛋白質大量発現系を構築し、リーリンリピートI蛋白質を精製した。このリーリンリピート1の2次構造を調べたところ、α-helix 40%,β-sheet 40%のα+β型蛋白質であることがわかった。 また、今年度は核磁気共鳴分光法によるリーリン蛋白質の構造情報の収集を目的として、生体分子の構造解析に適用できる新たな観測技術の開発も行った。
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