研究概要 |
インターフェロン制御転写因子IRF-2は細胞内で内因性のPCAF, p300と複合体を形成し、in vivoでアセチル化をうけることが確認された。In vitroのヒストンアセチル化のアッセイ系においてIRF-2の添加はp300のヒストンアセチル化を阻害すること、またU937細胞のホルボールエステルによる細胞分化誘導の系においてPCAF, p300の発現レベルが上昇し、それに伴うヒストンのアセチル化の上昇を、IRF-2が抑制的に作用していることを証明した(Masumi A. and Ozato K.J.Biol.Chem.276,20973-20980,2001)。このことはIRF-2がインターフェロン応答において負の制御因子として働くのでその際に重要な機構と密接に関わるものと考えている。さらにIRF-2のアセチル化の研究をNIH3T3細胞の増殖制御の系を用いておこなうとき、IRF-2はp300を共役転写因子としてH4遺伝子を活性化し、NIH3T3細胞が増殖している状態でIRF-2がアセチル化をうけ、増殖停止状態ではアセチル化がほとんど認められないことが明らかになった(Masumi A. et.al. J.Biol.Chem. in press)。このことから、IRF-2がそのアセチル化を通してクロマチン修飾に影響を及ぼし、さらに細胞機能を制御していると考えられることから、アセチル化IRF-2と相互作用する宿主因子を検索するという着想に至った。またIRFファミリーのうちIRF-7についてもアセチル化されることが証明された(Caillaud A. et al. J.Biol.Chem.2002)。他のIRFのアセチル化についてそのアセチル化を受ける部位、DNA共通結合配列への結合に及ぼす影響について比較検討し、共通点または違いを見出すことにより、インターフェロン応答に関わるIRFの機能をさらに明らかにすることができると考える。
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