研究概要 |
ヒトプロテイン1(P1)は分子量14kDaの低分子糖蛋白で、肺クララ細胞蛋白(CC10あるいはCCSP),Uteroglobinと同一分子である。P1蛋白は肺クララ細胞、前立腺、子宮内膜などの上皮系細胞で産生され、血中、尿中、肺胞中(Bronchoalveolar lavage液)に分泌される。 P1構造遺伝子上のsingle Nucleotide polymorphisms(SNPs)を検索し,日本人において6ヶ所のSNPsを同定した。これらのSNPを比較的手技が簡便で高価な機器を必要とせず安いランニングコストで解析できるように,multiplex allele specific PCR(MAS-PCR)を応用したSNPタイピング法を開発した。 各種疾患におけるP1遺伝子のsingle Nucleotide polymorphisms(SNPs)を検討した。小児IgA腎症においてG38Aの頻度が高かった。DNA direct sequencing法とAS-PCRにより,サルコイドーシスと健常人とのSNPの頻度を比較したところ,A-908Gにおいて有意にA, G38Aにおいて有意にGの頻度が高かった。以上の結果からP1構造遺伝子のSNPはサルコイドーシスの診断に有用と考えられる。 SNPsを有するgenomeDNAを増幅してpGL3-basicに組み込みLuciferase-reporterシステムを構築して,SNPsがP1構造遺伝子の発現に及ぼす影響を検討した。低濃度のInterferon-gamma添加時においてSNPsの違いによりP1構造遺伝子の発現量が有意に変動した。 肺胞液中のP1濃度が低下していた。 子宮内膜におけるP1の発現を検討した。分泌期での発現量が増殖期に比較して多く,また分化傾向を失うにつれ発現量が減少する傾向を示した。
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