研究課題/領域番号 |
13672414
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 (2002) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20251233)
橋本 佳明 (2001) 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40172879)
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研究分担者 |
橋本 佳明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40172879)
湯本 真人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30240170)
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20251233)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アポ蛋白AI / HDL / コレステロール逆転送系 / 抗酸化作用 / パラオキソナーゼ1 / 動脈硬化 / アポ蛋白E / 酸化ストレス / コレステロール逆転送 / パラオキソナーゼ / パラオキソネース / アポリポタンパクA1欠損症 |
研究概要 |
我々は、HDLコレステロール値が非常に低値(5mg/dl)である69歳女性のアポ蛋白A-I欠損症患者を経験した。本症例では、多くの冠動脈疾患の危険因子が重積しているにもかかわらず冠動脈疾患の合併がなかった。それゆえ、本症例のアポA-I遺伝子解析とともに、一般に抗動脈硬化作用を有すると考えられているHDLの本症例における特徴、およびHDL関連酵素について検討を加えた。 遺伝子解析の結果、アポA-I遺伝子第4エクソンにおける1塩基の欠失を認め、理論上184番目から199番目のアミノ酸が異なる短縮アポA-Iが産生される構造になっていたが、Western blotting法にての解析でもこのような変異アポA-Iは認めなかった。超遠心法で精製したHDLの特性を調べたところ、正常コントロールと比較してアポEの含有量が多いことが判明した。患者の子供においても同様の結果であった。FPLC法にてリポ蛋白を分画して検討を行った結果、このアポEを含有するHDLは一般に抗動脈硬化作用が強いといわれている大きなサイズのアポE-HDLであった。 HDLに関連する酵素であるLCAT(lecithin cholesterol acyltransferase)活性はその補酵素であるアポA-Iが欠損しているにもかかわらず正常コントロールと比較して軽度低下にとどまっており、またコレステロールエステルの全コレステロールにおける割合も正常ヒトと相違はなかった。CETP(cholesteryl ester transfer protein)蛋白量も正常ヒトと同等レベルに存在していた。抗酸化作用を有する酵素であるPON1(パラオキソナーゼ1)の血清における活性は低下していた。PON1はHDLのリン脂質に結合しアポA-Iで安定化されて存在すると言われているが、患者におけるPON1のリポ蛋白分布を検討したところ、アポA-Iが欠損しているにも関わらずHDL上のみに分布していた。HDLとの物理的結合安定性、温度に対する安定性は正常ヒトと比較して低下しており、この結合性低下は末梢細胞へのPON1運搬という側面から考慮して、動脈壁内での酸化抑制に良き効果を与えているものと推察された。
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