研究概要 |
<目的>1.妊娠前から妊娠判明時,妊娠中,出産後までの女性の喫煙行動の変化を縦断的に把握する。2.妊娠初期,妊娠末期,出産後の各段階での喫煙に関連する要因を横断的に検討する。3.禁煙継続群をベースに妊娠前,妊娠判明時,妊娠中,出産後の段階で禁煙ならびに禁煙を継続する要因を縦断的に検討する。 <方法>1.平成13年7月から8月に東北4県11市町村で実施した1歳6ヶ月児,1歳8ヶ月児健診に訪れた母親のうち調査に協力を得た449名(40.5%)を分析対象とし,妊娠前・妊娠中・出産後の喫煙行動と関連要因について後ろ向きに調査した。2.平成13年9月から12月にM県S市の母子健康手帳交付に来所した妊婦のうち調査に協力を得た1609名に質問紙を配布した。第1回調査(妊娠初期)677名(42.1%)回収,第2回調査(妊娠末期)307名(19.1%)回収,第3回調査(出産後)267名(16.6%)回収。3回の調査すべてに有効回答を得た259名(16.1%)を対象に前向きに調査した。調査内容は,喫煙歴の他,先行研究で喫煙に関連すると報告されている年齢を含む属性,喫煙環境に加えて,喫煙による健康影響の認識と禁煙の自己効力感,Health Locus of Control,母性理念を尋ねた。 <結果>1.主要な喫煙・禁煙行動の変化は,(1)妊娠前に喫煙経験が無く出産後まで一貫して喫煙無し(125名)。(2)妊娠前に禁煙し出産後まで禁煙継続(76名)。(3)妊娠判明時に禁煙し出産後まで禁煙継続(21名)。(4)妊娠判明時に禁煙し妊娠末期までに喫煙再開し出産後まで喫煙(7名)。(5)妊娠判明時に禁煙し出産後喫煙再開(15名)。(6)妊娠判明時から出産後まで喫煙継続(12名)。2.妊娠初期の喫煙に関連したのは,同居の喫煙者・身近な喫煙者がいること,喫煙の健康影響の認識が低いことであった。妊娠末期の喫煙には,同居の喫煙者・身近な喫煙者がいることが関連した。出産後の喫煙には,同居の喫煙者・身近な喫煙者がいること,否定的母性理念が強いことが関連した。3.禁煙継続に関連したのは,「妊娠前の喫煙本数」が少ない,「同居の喫煙者」がいない,「禁煙の自己効力感が強いことであった。
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