研究概要 |
1.電話相談の現状については,相談件数が非常に多く作業所の持つ大きな機能の一つになっている。2.電話を掛けてきた地域は山形市が一番多かったが近辺の地域にも広がっていた。電話による応対は,作業所のテリトリーを広める。3.電話相談をしてきた家族の内訳は妹が一番多かったが,その理由は不明である。4.作業所の月別相談件数については,差がほとんど見られず1年間を通して高いニーズが存在していた。5.通所者からの電話相談件数と内訳においては,定期的に通所している通所者は,日常生活に関する内容が多く,不定期な通所者の相談内容は定期的な者に比べて,困難な問題が多かった。6.家族からの電話相談件数と内訳においては,多い内容が精神疾患そのものに関する相談であり,作業所の指導員が家族のよき相談者になっていた。7.他部門からの電話相談件数では,作業所,病院などが多く,横のつながりが見られた。8.通所者と家族から見た相談の困難度においては,家族の方が困難な問題を相談しており,作業所は家族の重要な相談相手になっていた。9.定期通所者と不定期な通所者における相談の困難度では,不定期な通所者の方が困難な問題を相談していた。以上のことから,この精神障害者小規模作業所に置ける電話相談は,極めて重要な役割を果たしていた。内容は日常生活のこと,人間関係のこと,疾患に関することなど様々であり,地域にいる精神障害者とその家族はこれらの問題を解決したいという生活上のニーズを持っていることが明らかになった。そして電話相談という機能が充実することで,地域にいる精神障害者とその家族の生活を支えることになると思われた。
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