研究概要 |
4年間にわたるこの研究をとおして,日米の小児がん医療の現場における子どもへのインフォームド・コンセントの実態と課題を検討した.実際におこなった事柄は,1)日米の医師が子どもとその家族に医療面談する場での参加観察と録音,2)子どもに対して異なるスタイルのインフォームド・コンセントをおこなっている病院でのフィールドワーク,3)医師,看護師,チャイルドライフ・スペシャリストへの聞き取り調査である.これらのデータから,子どもへのインフォームド・コンセントにかかわる医療者チームの構造と機能,両親が子どもへの病名告知を許可する際の指標と評価,子どもをサポートする家族と社会の状況,そしてインフォームド・コンセントがおこなわれることによってもたらされる事柄と変化について検討した.報告書では,研究をとおしてより早急な変革が必要とされる日本の小児医療の場における子どもへのインフォームド・コンセントについて検討し,アメリカのデータは分析での比較に用いた. 本研究がめざすところは,子どもへのインフォームド・コンセントに関わる議論を活性化することにつきる.そのためには,今のところ日本では数少ない施設だけでおこなわれているインフォームド・コンセントの実際を,具体的に検討することが必要であると考えた.この研究結果が今後の活発な研究や意見交換のもとになることを期待したい.
|