安全な性行動を実行するための看護介入プログラム開発のための基礎調査として、安全なあるいは危険な性行動の実行に影響する要因の具体的な内容を把握することを目的に、面接調査を実施した。調査対象は、産婦人科クリニックを月経困難症や月経異常の治療目的で受診し、調査についての口頭と文書による説明により研究参加の同意を得た17〜25歳の未婚の女性17人である。調査は、兵庫県立看護大学研究倫理委員会の承認を得て、平成15年1月〜3月まで実施し、面接時間は15〜30分であった。調査の結果、避妊や性感染症予防の方法としては「コンドームのみ使用する」と述べるものが多く、性感染症罹患よりも妊娠の方が身近なこととして捉えていた。コンドームの使用については約1割の不確実さがあると述べていた。さらに、コンドームがない場合は、「性交をしない」よりも「膣外射精」の実施を避妊の方法として述べていた。また、性感染症予防に関しては、「コンドームの使用」の他に、「不特定多数の人と性交しない」ことを述べ、自分自身の感染の危険性については「相手を信用しているから大丈夫である」と述べていた。その根拠として、「感染症の確認はしていないが、以前からの知り合いで相手のことをよく知っている」ことや「相手や自分に性感染症の症状が生じていない」ことなどから相手は大丈夫であると判断していた。さらに、性交は男性との関係性における「親密さ」や「接近」をもたらし、相手を一層よく知ることができる行為として捉えていた。以上のことから、対象となった女性たちはこれまで受けた教育の中で、避妊や性感染症予防の方法に関する知識は持っているが、実際の予防策としてはコンドームのみに頼っていた。また、互いの関係性における言動から相手の性的な状況を推測し、性交は関係性を築き維持する上で重要な行為としていた。
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