研究分担者 |
大竹 眞裕美 (大竹 眞由美) 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (70315670)
大川 貴子 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (20254485)
新村 順子 財団法人東京都医学研究機構, 技術研究員 (90360700)
白石 弘巳 財団法人東京都医学研究機構, 参事研究員・系長 (80291144)
中山 洋子 福島県立医科大学, 看護学部, 学部長・教授 (60180444)
長 直子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (20332380)
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研究概要 |
<研究目的および実施内容> 統合失調症患者の入院中から地域での生活に至る包括的な援助の構造を、時間的な経過をふまえて明らかにすることが最終目的である。具体的には、(1)精神病院及び精神科病棟における看護師の行っている統合失調症患者の退院後の生活に向けたケアについて事例を通して把握し、援助内容と援助の特徴について時間軸という観点から明らかにした。特に、今日、短期入院・短期治療が促進されている現状の中で、短期間で退院することができた事例のケアを分析することによって、看護師がいつの時点から、どのような見通しをもって、地域で生活を送ることが可能となるようなケアを意識的に行なっているのかを明らかにした。(2)地域で生活する統合失調症患者に対して、入院中から現在までの期間を通して行われているケアの実際について明らかにした。 <結果および考察> 1,対象者および患者の特徴;対象看護師36名、患者;38名、平均年齢38.5歳(20〜62歳)、男性19名(50.0%)、平均入院回数3.6回(1〜12回)、初回入院13名(34.2%)、今回の入院期間平均64.7日(20〜94日)、6か月後転帰;地域生活継続26名(68.4%)、再入院後退院1名(2.6%)、通院先変更4名(10.5%)、不明7名(18.4%) 2,入院中のケア領域とケア数;〔( )内はケア数を示す〕(1)退院後の過ごし方(83件),(2)困ったことへの対処(22件),(3)服薬管理(48件),(4)精神症状のマネージメント(27件),(5)疾病理解(6件),(6)人との関わり方(23件),(7)家族調整(49件),(8)通院の継続(13件),(9)外出・外泊に伴うケア(45件),(10)他職種との連携(29件) 3,ケアの開始時期;退院後の生活に向けたケアは1週目より開始され、入院8週目までに全ケースにおいて開始されていた。最も多くのケアが開始されているのが入院4週60件であった。特に、再入院群は初回入院群に比較してより早期に開始される傾向にあり、再入院では退院後の生活をイメージしたケアを行いやすいと考えられた。初回入院の場合は、より丁寧に患者との信頼関係の形成、および、患者の状況や状態の把握に時間をかけ、じっくり関わりながら地域生活に向けてのケアを展開していく必要がある。
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