研究概要 |
1979〜1995年にわたる児童・生徒の身体成長の縦断的研究,小城成長研究(Ogi Growth Study)ののべ11,256名のデータから12年間の個人追跡データを持つ男女児174名づつを選び出して日本人の思春期の身体成長の総合的分析をおこなった。分析の対象とした身体計測項目は身長,下肢長,座高,上肢長,肩峰幅,腸骨稜幅,体重である。個人追跡データに三重ロジスティック曲線をあてはめるソフトウェアAUXAL3のBTT法を援用した。その結果以下の知見を得た。 1)思春期スパートのタイミングは身体各部で一様ではない。下肢長が先行してスパートしそれに座高が続いていく。また,体重は一番遅れてスパートすることが明らかになった。 2)各計測項目の成人に達した時の大きさはその途中経過の思春期のタイミングや思春期開始時,思春期時の成長速度は無関係であることが分かった。 3)長径項目では,思春期開始時,思春期時の晩熟傾向と思春期スパートの大きさのあいだに強い関係がある。 4)女児の腸骨稜幅と男児の肩峰幅の成長パターンには特徴的な傾向がある。 5)成長曲線のパラメータの因子分析は思春期スパートに関連した因子として,タイミング関連因子,サイズ関連因子,スパート量関連因子の存在を示唆した。同時に,男女で腸骨稜幅に関連した因子および女児で座高に関連した独自の因子をも示唆した。
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