研究概要 |
水の物理的特性と性別および年齢等の身体特性が塩水水中リラクゼーションに及ぼす影響について生理学的観点から明らかにすることを目的とした.若年者を対象として塩水を用いた水中リラクゼーションが心拍数,血圧および心臓自律神経活動に及ぼす影響について検討した.塩水および水中リラクゼーションでは心拍数が低下し,心臓迷走神経活動が亢進することが明らかとなった.若年男性を対象として異なる水温下での水中リラクゼーションが心拍数,血圧及び心臓自律神経系活動に及ぼす影響について検討した.水温25では,心拍数が低下し,41℃では増加すること,水温35,41℃における血圧は低下すること,水温35℃では,心臓迷走神経活動は亢進し,交感神経活動は抑制され,水温41℃では,逆の反応を示すことが明らかとなった.若年女性を対象として水温30℃下での水中リラクゼーションが心拍数,血圧および心臓自律神経系活動に及ぼす影響について検討した.月経周期に伴いホルモンや自律神経系などに周期的変化がみられるので,実験は,月経開始4日目から10日目までの卵胞期に実施した.血圧は低下し,心臓迷走神経活動は亢進することが明かになった.中高年者を対象として水温30,35℃下での水中リラクゼーションが心拍数,血圧および心臓自律神経系活動に及ぼす影響につて検討した.水温30℃では心拍数が低下,血圧の増加傾向,心臓迷走神経活動が亢進し,水温35℃では心臓迷走神経活動が亢進することが明らかになった.以上のことから水中リラクゼーションは,静水圧,水温,浮力等の水の物理的特性が作用し,若年者から中高年者までの幅広い年齢層に,あるいは男女を問わずリラクゼーション効果が得られることが明らかになった.今後休養を核にした健康づくりに幅広く活用できると考えられた.
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